リジュセア®ミニ点眼液0.025%とは
「お子さんの近視、これ以上進まないようにできませんか」——診察室でよく伺うご相談です。低濃度アトロピン点眼は、近視の進行そのものを緩やかにすることを目指す点眼治療です。これまで低濃度アトロピン(マイオピンなど)と聞くと、海外から個人輸入した未承認医薬品を用いる完全自費診療、というイメージをお持ちの方が多かったと思います。当院で使用している「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」は事情が違います。日本国内の臨床試験を経て「近視の進行抑制」を効能・効果とする医療用医薬品として正式に製造販売承認された薬剤で、2025年4月より臨床の現場で使われるようになりました。
国内承認薬としての位置づけ
「未承認の薬を使うのは、正直少し不安です」というお声もいただきます。リジュセア®ミニは、第Ⅲ相試験(ORANGE STUDYなど)を含む国内の臨床試験を経て、厚生労働省の承認を受けた医療用医薬品です。個人輸入の未承認薬とは違い、国が定めた審査を通過した薬なので、万が一重い副作用が起きた場合には「医薬品副作用被害救済制度」の対象になります。承認薬かどうかは、いざというときの補償の有無にも関わる大事な違いです。
選定療養(保険外併用療養)による費用負担の仕組み
「保険がきくのか、全額自己負担になるのか」というご質問も多くいただきます。これまでの海外製点眼薬は、検査・診察代からお薬代まですべてが自由診療(全額自己負担)でした。リジュセアの登場と2026年度の診療報酬改定により、診察・検査・処方箋料を健康保険でまかない、点眼薬代のみを実費でご負担いただく「選定療養」という制度が全国的に使えるようになってきています。
| 従来の海外製点眼薬(マイオピン等) | リジュセア®ミニ点眼液0.025% | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 国内未承認の輸入医薬品 | 国内で正式に承認された医療用医薬品 |
| 診察・検査・処方箋料 | 全額自己負担(自由診療) | 健康保険が適用されます |
| 点眼薬代 | 全額自己負担(自由診療) | 実費(全額自己負担) |
この仕組みにより、同日に他の標準的な検査を行う際の負担が軽減されます。当院でマイオピンなど国内未承認の輸入点眼薬を別途取り扱っているかどうかは、診察時にご確認ください。
製剤としての特徴
防腐剤フリーの一回使い切りタイプ
「毎日使うものだから、清潔さが気になる」というのはもっともな心配です。リジュセアは1回分(0.3mL)ずつ切り離して使う単回使用容器(ミニボトル)で、防腐剤(保存剤)を含みません。開封のたびに新しい1本を使うので、黒目の表面がデリケートなお子さんや、アレルギー体質のお子さんでも衛生的に使い続けられます。
超低濃度への製剤設計
「点眼したら眩しくなったり、字が見えづらくなったりしませんか」というご心配もよく伺います。リジュセアは通常濃度(1.0%)のアトロピンに比べ、「0.025%」という超低濃度に調整された薬です。通常濃度のアトロピンに比べて瞳を広げる作用(散瞳)やピント調節を麻痺させる作用は抑えられていますが、点眼後に「まぶしさ(羞明)」を感じる方が比較的多く、そのほか目のかすみを感じることもあります。症状がおさまるまでは、自転車や自動車の運転、機械類の操作、落下のおそれがある遊具の使用など、危険を伴う行動は避けてください。
起こりうる副作用・注意点
「痛みが出たり、目に傷がついたりしませんか」というご心配もよく伺います。点眼後に「まぶしさ(羞明)」を感じる方が比較的多く報告されているほか、目のかすみ、頭痛、まぶたのかゆみなどが起こることがあります。症状がおさまるまでは、自転車や自動車の運転、機械類の操作、落下のおそれがある遊具の使用などは避けてください。気になる症状が出たときは自己判断で中止・再開せず、次の受診を待たずにご連絡ください。防腐剤フリーのため、一度開封した容器の残液は必ず破棄します。
治療の対象となるお子様
「うちの子は対象になりますか」というのが、いちばん気になるご質問だと思います。当院では次の条件に当てはまるお子さんを対象としています。
- 5歳以上(〜15歳頃まで)の、軽度〜中等度の近視のお子様
- 毎日就寝前の点眼を継続でき、定期的な通院(およそ3〜6ヶ月ごと)が可能な方
近視が最も進行しやすい成長期(10代後半頃まで)の間は、年単位での長期的な点眼継続が治療の基本になります。
治療の進め方
「何から始めればいいですか」というご質問には、当院では次のような流れでお答えしています。
屈折度数などを確認し、対象となる年齢・近視の程度に当てはまるかを判断します。
1日1回、就寝前に両目に1滴ずつ点眼します。防腐剤フリーのため、開封した容器の残液は保存がきかず、そのつど新しい1本を使います。
近視の進行度合いを確認しながら、点眼の継続や見直しを判断します。
近視が進行しやすい成長期(10代後半頃)まで、年単位で治療を続けていきます。
費用の目安
「結局いくらかかるのか」を先にお伝えしておきます。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 診察・定期検査料 | 健康保険が適用されます(お住まいの自治体のこども医療費助成も利用できます) |
| 点眼薬費用(実費) | 1箱(30本入・約1ヶ月分)あたり4,500円(税込) ※医療機関や調剤薬局により多少前後します |
近視の程度によっては、オルソケラトロジーや多焦点ソフトコンタクトレンズといった他の自費の近視抑制治療と組み合わせる選択肢もあります。組み合わせによる抑制効果の程度には個人差があります。詳しくは診察時にご相談ください。
よくあるご質問
いちばんの違いは、国内で正式に承認された医療用医薬品かどうかという点です。マイオピンなどの海外製点眼薬は国内未承認の輸入医薬品で、全額自己負担の自由診療でした。リジュセア®ミニは国内の臨床試験を経て厚生労働省の承認を受けており、2026年からは選定療養の対象にもなっています。
選定療養は、保険診療と保険外の診療を組み合わせられる制度です。リジュセア®ミニ点眼液を使った治療では、診察・検査・処方箋料に健康保険が適用され、点眼薬代のみが実費(全額自己負担)となります。
近視が進行しやすい成長期(10代後半頃)までの継続が目安です。お子さまの近視の進行状況を見ながら、定期受診のたびに継続を判断します。
使用できません。防腐剤無添加の一回使い切りタイプのため、開封した容器の残液は保存がきかず、使うたびに新しい1本を開封していただきます。
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院長 野村 圭子
保有資格・略歴
- 昭和63年 東京女子医科大学卒業・同大学眼科医局入局
- 平成11年 米国ロチェスター大学角膜移植部留学
- 平成13年 東京女子医科大学眼科准講師
- 日本眼科学会専門医
お子さまの近視が気になる方、他院で低濃度アトロピン点眼を勧められた方は、一度当院までご相談ください。