ドライアイとは

「目が乾くだけなのに、受診するほどではないのでは」と感じる方は少なくありません。ですが涙は、目の表面に薄い膜を張って酸素や栄養を角膜に届け、まばたきのたびに表面をなめらかに整える大切な役割を持っています。

この膜のバランスが崩れると、乾いた感じだけでなく、物がかすんで見えるといった見え方の変化も起こります。

ドライアイは一時的な乾きではなく、慢性的に経過する病気です。年齢や生活習慣、他の病気の影響など、いくつもの要因が重なって起こることが多いとお伝えしています。

ドライアイの原因

「私の場合、何が原因なんでしょうか」と聞かれることがよくありますが、原因がひとつに絞られるケースは多くありません。加齢による変化と生活環境、お薬の影響、他の病気などが絡み合って起こります。次のような原因が考えられます。

シェーグレン症候群という自己免疫疾患がある場合も、ドライアイを合併することがあります。目の乾きだけでなく、口の渇きや関節の痛みなど全身の症状に心当たりがある方は、診察の際にお伝えください。

ドライアイの主な症状

「目薬を使っているのに、なんだかしっくりこない」というお話をよく伺います。症状の感じ方には幅があり、次のような訴えが単独で、あるいは組み合わさって現れます。

これらの症状は、ドライアイ以外の目の病気でも起こります。市販の目薬だけで様子を見続けるのではなく、症状が続くときは診察で原因を確かめましょう。

涙の膜構造とドライアイの関係

「涙にも層があるんですか」と驚かれることがよくあります。目の表面を覆う涙の膜は、「油層」「水分とムチンからなる層」「角膜表面に密着する膜型ムチン」という性質の異なる層が重なってできています。

このバランスが崩れると、乾燥感やかすみなどの症状が現れます。それぞれの層は、これまでに挙げた原因と次のように関わっています。

涙の膜の層関わる主な要因
油層マイボーム腺機能不全など、脂の分泌が低下する状態
水分・ムチン層加齢、抗コリン作用のある薬や一部の抗がん剤の影響、シェーグレン症候群など
膜型ムチン結膜弛緩症など、目の表面の状態の変化

ドライアイの治療

「目薬をずっと使っているのに、なかなか良くならない」というご相談もよくいただきます。治療は、涙の量や質を補うケアから、症状の程度に応じた段階的な選択肢まであります。

点眼薬による治療

人工涙液や、涙の主成分であるムチンの分泌を促す点眼薬を使います。1日に何度も点眼が必要な方には、防腐剤無添加のタイプをお選びすることもあります。

マイボーム腺のケア

マイボーム腺機能不全を伴う場合は、油層の分泌を助けるために瞼を温める温罨法や、瞼の縁を清潔に保つ洗浄を行います。

涙点プラグによる治療

点眼薬だけでは十分な効果を感じられないときは、涙の排出口である涙点を液体コラーゲンやシリコン製のプラグでふさぎ、涙を目の表面にとどめやすくします。

手術による涙点閉鎖

プラグでも改善が乏しい場合の選択肢として、涙点そのものを閉鎖する手術があります。

受診の目安

「これくらいの乾きで受診していいのかな」と迷う方も少なくありません。目の乾きや不快感が2週間以上続くとき、市販の目薬を使っても改善しないときは、一度受診しましょう。

コンタクトレンズを使っている方は、レンズの種類や装用時間が症状に影響していることもあるので、使用状況もあわせて教えてください。

初診では、細隙灯顕微鏡などで目の表面の状態を確認したうえで治療方針を決めていきます。所要時間や当日の持ち物については、受診の際にご案内します。

よくあるご質問

Q
ドライアイは治りますか?
A

加齢や乾いた環境など複数の要因が重なっている場合、原因をすべて取り除くのは難しいこともありますが、点眼薬や涙点プラグなどの治療で症状を和らげることはできます。生活環境の見直しとあわせて、長く付き合っていく病気だと考えていただくとよいかもしれません。

Q
コンタクトレンズを使っていても治療はできますか?
A

治療自体は可能です。ただしレンズの種類や装用時間を見直していただく場合があるので、使用状況を診察の際にお聞かせください。

Q
目薬はどのくらいの頻度で使えばよいですか?
A

「目薬、こんなに何回も差していいのかな」と不安になる方もいらっしゃいますが、点眼薬の種類や症状の程度によって回数は異なります。自己判断で回数を増減させず、処方時の指示に従ってください。

Q
シェーグレン症候群が心配な場合はどうすればよいですか?
A

目の乾き以外に、口の渇きや関節の痛みなど全身の症状に心当たりがあるときは、診察の際にそのことも一緒に伝えていただけると助かります。必要な検査や専門医療機関への紹介についてご案内します。

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院長 野村 圭子

眼科を担当。白内障や緑内障などの一般眼科診療から、小児眼科・アレルギー性結膜炎など幅広く対応します。

保有資格・略歴

  • 昭和63年 東京女子医科大学卒業・同大学眼科医局入局
  • 平成11年 米国ロチェスター大学角膜移植部留学
  • 平成13年 東京女子医科大学眼科准講師
  • 日本眼科学会専門医

目の乾きや不快感が続くときは、我慢せずに一度ご相談いただければと思います。他の目の症状が気になる方は、眼科トップページから該当のページもご覧になれます。