角膜感染症とは
「目が赤いだけなのに、眼科に来るほどのことなのかな」と迷われる方によくお会いします。ですが、黒目の表面を覆う透明な膜「角膜」に細菌やウイルスなどが感染している場合は、様子を見ずに来ていただきたいケースです。
角膜は光を通してピントを合わせる大切な役割を担っていて、ここに傷や強い炎症が起きると、進行するにつれて角膜そのものが白く濁ってしまうことがあります。
結膜(白目やまぶたの裏側の膜)の感染に比べて重症化しやすく、視力の低下や視力障害が残ることもあるので、気になる症状に気づいた時点で早めに眼科を受診していただきたいと思います。
角膜感染症の原因
角膜感染症でいちばん多い原因は、コンタクトレンズの使い方です。「毎日ちゃんとお手入れしているから大丈夫」と思っていても、装用時間の目安を超えて長時間つけ続けたり、レンズケースの洗浄が不十分なまま使い続けたりすると、レンズを介して細菌が角膜の表面に付きやすくなります。
もうひとつの原因は、目にゴミやまつげが入ったときにできる小さな傷です。角膜にできたわずかな傷から細菌などが入り込み、そこから感染症に発展することがあります。
コンタクトレンズを使っている方には、診察の際いつも次の点をお伝えしています。
- 装用時間の目安を守り、就寝時は原則としてレンズを外す
- レンズケースは毎日洗浄し、消毒液は使用期限内のものに定期的に交換する
- 目に赤みや痛み、違和感があるときはすぐに使用を中止する
上記は一般的なコンタクトレンズケアの注意点です。
角膜感染症の症状
「うつるのが心配」「これは結膜炎なのか、角膜の方なのか分からない」というお声もよくいただきますが、角膜感染症では次のような症状が現れます。
- 激しい目の痛み
- 強い充血
- 大量の目やに
- まぶしさ(羞明)
- 視力低下(黒目が白く濁ることもあります)
ひとつでも当てはまるときは、様子を見ずに眼科へお越しください。
角膜感染症の治療
角膜感染症は、急いで治療を始めたい病気です。角膜は本来透明な組織なので、感染による傷や濁りがそのまま視力の低下につながりやすく、治療の開始が遅くなるほど元の状態に戻りにくくなります。
原因になっている菌やウイルスに応じて、抗生剤や抗ウイルス薬の点眼薬・内服薬を組み合わせ、しっかり治療していきます。
「そのうち治るだろう」と市販の点眼薬で様子を見たり、忙しさを理由に受診を先延ばしにしたりすると、治療開始が遅れて視力障害が残るリスクが高くなります。
目の痛みや充血が急に強くなった、目やにが大量に出る、視界がかすむといった症状があるときは、様子を見ずすぐに受診してください。コンタクトレンズを使用中に症状が出た場合は、すぐにレンズを外していただき、使用していたレンズと保存液が手元にあれば一緒にお持ちいただくとスムーズです。
結膜感染症とは
「目やにが出るけど、これって結膜炎かな」と気になる方も多いと思います。結膜は白目とまぶたの裏側を覆う薄い膜で、ここに細菌やウイルスが感染して炎症を起こした状態が結膜感染症、いわゆる結膜炎です。
角膜感染症に比べると重さは軽いことがほとんどですが、種類によっては感染力が強く、家族や職場の人にうつってしまうこともあります。
結膜感染症の原因
原因の多くは、細菌やウイルスの付着です。手を洗わずに目をこすったり、風邪をひいたときにウイルスが目に回ったりすることで起こります。中には学校や職場で流行するほど感染力の強いウイルス性結膜炎(流行性角結膜炎など、いわゆる「はやり目」)もあり、詳しくは流行性角結膜炎・咽頭結膜熱のページでご案内しています。
細菌性結膜炎とウイルス性結膜炎の違い
「目やにの色でうつるかどうか分かりますか」とよく聞かれますが、結膜感染症は原因によって目やにの特徴や対応が変わります。次の表にまとめました。
| 細菌性結膜炎 | ウイルス性結膜炎 | |
|---|---|---|
| 目やにの特徴 | 黄色く粘り気のあるドロッとした目やに | サラッとした水っぽい目やに |
| 主な原因 | 細菌の付着 | 風邪のウイルスなどの付着 |
| 主な治療 | 抗菌点眼薬 | 抗炎症点眼薬など |
| 周囲への感染 | 目やにを介してうつることがある | 感染力が強いタイプがあり、特に注意が必要 |
結膜感染症の治療
治療は、原因に応じた点眼薬を使います。細菌性結膜炎には抗菌点眼薬、ウイルス性結膜炎には炎症を抑える点眼薬などを使い分けます。ウイルス性結膜炎はうつりやすいタイプがあるので、タオルの共有を避け、手洗いを徹底することが周囲に広げないための一番の対策です。
受診から治療開始までの流れ
「初めて眼科に行くのは緊張する」という方のために、初診の流れを簡単にご紹介します。
気になる症状が出た時期や、コンタクトレンズの使用状況、周りで結膜炎が流行っていないかなどをお伺いします。
黒目や白目の状態を拡大して観察し、傷や炎症の範囲・程度を確認します。
原因に応じた点眼薬をお出しします。症状の程度によっては、内服薬を併用することもあります。
数日〜1週間ほどの間隔で診察をして、良くなっているかを確認しながら治療を続けます。
上記は一般的な眼科診療の流れとして補足しました。
よくあるご質問
レンズはすぐに外してください。使用していたレンズや保存液が残っていれば、一緒にお持ちいただくと原因を調べる手がかりになります。
ウイルス性結膜炎は感染力が強く、家庭内や職場でうつることがあります。タオルや枕の共有を避け、こまめな手洗いを心がけましょう。
黄色く粘り気のある目やには細菌性、サラッとした水っぽい目やにはウイルス性に多い傾向はありますが、目やにの様子だけで自己判断するのは難しく、診察で確認させていただくのが確実です。
原因となる菌やウイルスの種類、治療を始めた時期によって経過は大きく変わり、個人差があります。早く治療を始めるほど、視力への影響を抑えやすくなります。
目をこすらず、清潔なガーゼやティッシュで目やにを軽く拭き取る程度にとどめておきましょう。市販の点眼薬を自己判断で使うのは避け、早めに眼科へお越しいただくのが安心です。
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院長 野村 圭子
保有資格・略歴
- 昭和63年 東京女子医科大学卒業・同大学眼科医局入局
- 平成11年 米国ロチェスター大学角膜移植部留学
- 平成13年 東京女子医科大学眼科准講師
- 日本眼科学会専門医
目の痛みや充血、目やになど気になる症状がある場合は、当院眼科までお気軽にご相談ください。