目の仕組みとピントの合い方
角膜と水晶体を通った光は、水晶体の周りを取り囲む筋肉(毛様体筋)の働きで水晶体の厚みを変えながら、網膜にピントを合わせます。この調節をしない状態で遠くを見たとき、光がどこにピントを結ぶかによって、屈折の状態は次の5つに分けられます。
| ピントが合う位置と見え方の特徴 | |
|---|---|
| 正視 | 網膜の上にきちんとピントが合う状態です。調節をしていない状態でも、遠くのものがはっきり見えます。 |
| 近視 | 網膜より手前にピントが合う状態です。遠くを見ると像がぼやけますが、近くを見るときは光が広がる方向で目に入るため焦点が網膜に近づき、裸眼でもよく見えます。 |
| 遠視 | 網膜より後ろにピントがくる状態です。軽度であれば調節力で補ってピントを合わせられますが、常に調節を働かせ続けるため疲れやすくなります。 |
| 乱視 | 目に光が入る方向によってピントの合う位置がまちまちになる状態です。上下や左右にだぶって見えたり、にじんで見えたりします。 |
| 老視(老眼) | 加齢により水晶体の弾力が失われ、調節する力そのものが低下した状態です。近くのものにピントを合わせづらくなります。 |
屈折検査の流れ
屈折異常を調べる際は、機械による測定と、実際にレンズを交換しながら確認する検査をあわせて行い、見え方に合った矯正方法をご提案します。
矯正していない状態でどの程度見えているかを確認します。
器械で目の屈折度数をおおまかに測定します。
レンズを交換しながら、実際に一番見やすい度数を確認します。
検査結果をもとに、メガネやコンタクトレンズ、老視の場合は老眼鏡など、見え方に合った矯正方法をご提案します。
近視
近視は、調節をしない状態で網膜より手前にピントが合ってしまう屈折状態です。遠くを見ると像がぼやけますが、近くを見るときは光が広がる方向で目に入るため焦点が網膜に近づき、裸眼でもはっきり見えます。学齢期に進行しやすく、成長にともなって眼軸(目の前後方向の長さ)が伸びることが主な原因です。
メガネやコンタクトレンズで矯正すれば見え方そのものは整いますが、これは度数の進行を止めるものではありません。お子さまの近視の進行を緩やかにする取り組みについては、後述の「近視の進行抑制について」をご覧ください。
遠視
遠視は、網膜より後ろにピントがくる屈折状態です。「遠くがよく見える=目がよい」と誤解されがちですが、実際には調節をしていない状態で遠くを見てもピントは網膜の後ろに合っており、本来はよく見えていません。遠視の程度が軽ければ、水晶体を厚くする調節の働きでピントを網膜まで引き寄せられるため、メガネなしでもよく見えると感じている方が多くいます。
ただし、常に調節を働かせ続けることになるため眼精疲労につながりやすく、遠視の程度が強い場合は調節力だけでは補いきれず視力そのものが低下します。
乳幼児の遠視は、軽度であっても調節を酷使することで内斜視(目が内側に寄る状態)を招くことがあります。お子さまが目を細める、頭痛を訴える、目つきが気になるといった様子があれば、一度眼科での屈折検査を受けてください。
乱視
乱視は、目に入る光の方向によってピントの合う位置がずれる屈折状態です。角膜や水晶体のカーブが均一でないために起こり、縦方向と横方向で見え方の縮尺が異なるため、文字や物が上下・左右にだぶって見えたり、にじんで見えたりします。近視や遠視と合併して起こることも多く、その場合はそれぞれ近視性乱視・遠視性乱視と呼ばれます。
老視(老眼)
老視(老眼)は、水晶体の弾力が加齢とともに失われ、ピント合わせをする調節力そのものが低下する現象です。目安として45歳前後から、新聞や本など近くの文字が見えにくくなり始めます。
近視の人は裸眼で近くにピントが合いやすいぶん自覚が遅れることがありますが、老視自体は近視・遠視・乱視の有無にかかわらず誰にでも起こる生理的な変化です。自覚があるかどうかには個人差があります。
仮性近視
仮性近視は、近くを見続けることで水晶体の厚みを調整する毛様体筋が過度に緊張し、一時的に近視のような状態になることを指します。緊張した状態を長く続けていると、仮性ではなく本当の近視(眼軸が伸びる近視)に移行することがあります。急に黒板の文字が見えにくくなったなど、見え方の変化に早めに気づくことが大切です。
強度近視のリスク
強い近視のほとんどは、眼球の前後方向の長さ(眼軸長)が伸びていることが原因です。眼軸が伸びるほど網膜や脈絡膜が引き伸ばされて薄くなり、将来的に次のような病気のリスクが高くなります。
- 黄斑変性症
- 緑内障
- 網膜剥離
度数の矯正だけでなく、眼底の状態を定期的に確認することが、強度近視の方には特に重要です。
近視の進行抑制について
お子さまの近視が進む速さには、遺伝要因と環境要因の両方が関わっています。両親がともに近視の場合、そうでない場合に比べて7〜8倍近視になりやすいことが分かっています。環境要因としては、読書や学習の際に正しい姿勢と十分な視距離を保つこと、屋外で過ごす時間を確保することが、近視の進行を緩やかにするうえで有効です。
近視の進行を抑えるための具体的な治療法については、近視進行抑制治療のページで詳しくご案内する予定です。また、当院では累進屈折力レンズ(MCレンズ)の処方も行っておりますので、詳しくはスタッフまでお尋ねください。
よくあるご質問
近視そのものを元の正視の状態に戻す治療法は確立されていません。メガネやコンタクトレンズは見え方を矯正するもので、度数の進行を止めるものではない点にご注意ください。お子さまの近視の進行を緩やかにする方法については、別ページでご案内しています。
遠視の程度と年齢によって対応は異なります。特に乳幼児期の強い遠視を放置すると、内斜視や弱視につながることがあるため、就学前のお子さまで遠視を指摘された場合は一度眼科を受診してください。
老視(老眼)は水晶体の弾力低下による生理的な変化のため、近視・遠視・乱視の有無にかかわらず誰にでも起こります。近視の方は裸眼で近くにピントが合いやすいぶん自覚が遅れることがありますが、進行自体は避けられません。
毛様体筋の緊張による一時的な状態か、眼軸が伸びる本当の近視かは、検査による見極めが必要です。急に見えづらさを訴えるお子さまは、早めに受診してください。
眼軸が伸びる強度近視では、黄斑変性症・緑内障・網膜剥離などのリスクが高くなることが分かっています。度数だけでなく、眼底の状態を定期的に確認することが大切です。
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院長 野村 圭子
保有資格・略歴
- 昭和63年 東京女子医科大学卒業・同大学眼科医局入局
- 平成11年 米国ロチェスター大学角膜移植部留学
- 平成13年 東京女子医科大学眼科准講師
- 日本眼科学会専門医
近くが見えにくい、目が疲れやすいといった見え方の変化は、屈折異常だけでなく他の目の病気が隠れていることもあります。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。