不整脈で起こる症状

「動悸がする」「脈が飛ぶ感じがして怖い」という訴えで受診される方は少なくありません。不整脈があると、動悸のほか、脈が飛ぶ感じ、胸のあたりの不快感、息切れ、めまい、失神などが起こることがあります。

ただ、症状の強さと不整脈の危険度は必ずしも一致しません。強い動悸があっても心配のいらないタイプがある一方、自覚症状がほとんどないまま脳梗塞や心不全のリスクを抱えているタイプもあります。

健診や人間ドックの心電図で「不整脈の疑い」と言われた場合は、症状がないからと様子を見続けず、まずは一度お話を聞かせてください。

不整脈の種類と当院の考え方

不整脈には数多くの種類があり、危険度は種類によって大きく異なります。大きく分けると、次の2つに整理できます。

代表的な不整脈当院の基本的な考え方
経過観察でよいことが多いタイプ期外収縮 など症状・頻度・心臓の基礎疾患の有無を確認したうえで、多くは生活指導と経過観察
専門的な評価が必要なタイプ心房細動、発作性上室頻拍、心房粗動、徐脈性不整脈、房室ブロック、心室頻拍、WPW症候群 など心電図・ホルター心電図などで種類とリスクを確認し、必要に応じて専門医療機関と連携

不整脈が見つかった際に当院が確認するのは種類だけではありません。心臓の病気を背景にしているか、脳梗塞・心不全・失神・突然死などのリスクがあるか、症状が日常生活に影響しているかという点まで含めて判断します。

治療が必要かどうかの判断

すべての不整脈に治療が必要なわけではありません。治療の対象になるのは、主に生命予後や重大な合併症に関わる不整脈、または動悸・息切れ・めまいなどの症状が強く日常生活の質を下げている不整脈です。危険性が低く症状も軽い場合は、生活習慣の見直しや経過観察で十分なこともあります。

次のような要因が不整脈の誘因になることもあります。

検査の進め方

不整脈は一時的にしか出ないことも多く、その場の心電図だけでは見つからない場合があります。当院では次の順で検査を進め、種類とリスクを確認します。

12誘導心電図で種類を確認する

まず12誘導心電図を行い、不整脈の種類を確認します。

症状の頻度に応じてホルター心電図を行う

通常の心電図だけでは見つからない不整脈もあるため、症状の頻度に応じて24時間以上の心電図変化を確認するホルター心電図を行います。

血液検査で背景にある異常を確認する

貧血、甲状腺機能、電解質、腎機能などを確認し、不整脈の誘因になっている異常がないか調べます。

心臓超音波検査で心臓の状態を評価する

心臓の大きさ、心機能、弁膜症、心肥大、心不全の有無を評価します。

必要に応じて専門医療機関と連携する

長時間心電図、運動負荷試験、電気生理検査、カテーテルアブレーションの適応評価などが必要な場合は、循環器専門医療機関をご紹介します。

検査項目の詳細は当院で行える検査のページにまとめています。

心房細動と脳梗塞リスク

特に重要な不整脈の一つが心房細動です。心房が細かく震えるように動くため脈が不規則になり、動悸や息切れの原因になるだけでなく、心臓の中に血栓ができて脳梗塞を起こすことがあります。

心房細動と診断された場合は、症状の有無だけでなく、年齢、高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞の既往などから脳梗塞リスクを評価します。一般にCHADS₂スコアなどを用いてリスクを判断し、必要な方にはDOAC(直接経口抗凝固薬)などの抗凝固薬を使用して脳梗塞を予防します。

抗凝固薬は出血リスクも考慮しながら、腎機能、年齢、体重、併用薬を確認したうえで選択します。

心房細動は発症から時間が経つほど心房の変化が進み、正常なリズムに戻しにくくなることがあります。そのため発症早期の段階で、脈を整える治療、心拍数を調整する治療、カテーテルアブレーションなどを検討したほうが効果を得やすい場合があります。

症状が強い方、比較的若い方、心不全を悪化させる可能性がある方では、早めに専門的な評価を行うことが大切です。

動悸や息切れが続く方、健診で心房細動の疑いを指摘された方は、様子を見ずに早めにご相談ください。

不整脈の治療

治療は不整脈の種類と危険度によって異なります。頻脈性不整脈では、脈を抑える薬、リズムを整える薬、カテーテルアブレーションなどを検討します。

徐脈性不整脈では、症状や失神リスクがある場合にペースメーカーが必要になることがあります。危険な心室性不整脈では、専門医療機関での評価や植込み型除細動器が必要になる場合もあります。

当院では、心電図やホルター心電図、心臓超音波検査を用いて不整脈の種類とリスクを評価し、経過観察でよいものと専門治療が必要なものを見極めます。専門的な治療が必要と判断した場合は、循環器専門医療機関へ速やかにご紹介します。

早めの受診が必要なサイン

動悸に加えて、胸の痛み、意識が遠のく・気を失う、強い息切れ、冷や汗を伴う場合はすぐに医療機関を受診しましょう。健診の心電図で指摘されただけで症状がない場合も、自己判断で様子を見続けず、一度スタッフまでお声がけいただければと思います。

よくあるご質問

Q
健診の心電図で「不整脈の疑い」と言われました。すぐに治療が必要ですか?
A

期外収縮のように経過観察で十分なことも多くありますが、心房細動など専門的な評価が必要な種類が隠れていることもあります。症状の有無にかかわらず、一度心電図やホルター心電図で種類を確認することをお勧めします。

Q
動悸を感じたときだけ心電図を撮れば診断できますか?
A

不整脈は一時的にしか出ないことが多く、その場の心電図だけでは見つからない場合があります。症状の頻度に応じてホルター心電図を行い、24時間以上の心電図変化を確認します。

Q
心房細動と診断されたら、薬は一生飲み続けることになりますか?
A

抗凝固薬が必要かどうかは、年齢や高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞の既往などから評価する脳梗塞リスクによって判断します。カテーテルアブレーションなどでリズムを整える治療によって内服の必要性が変わることもあるため、経過をみながら医師と相談して決めていきます。

Q
動悸などの自覚症状がなくても受診したほうがよいですか?
A

不整脈の種類によっては、自覚症状がないまま脳梗塞や心不全のリスクを抱えていることがあります。健診で不整脈を指摘された場合は、症状がなくても一度相談されることをおすすめします。

関連ページ

理事長 野村 敦宣

内科・循環器科を担当。健診異常や生活習慣病の管理から、専門的な検査・治療が必要な場合の連携医療機関へのご紹介まで、地域のかかりつけ医として対応します。

保有資格・略歴

  • 日本医科大学第一内科入局
  • 米国ロチェスター大学メディカルセンター循環器研究部留学
  • 労働衛生コンサルタント

動悸や脈の乱れが続く方も、健診の心電図で不整脈だけを指摘された方も、次の受診でぜひお聞かせください。