高尿酸血症とは
健診表の「尿酸値」の欄に基準値超えの印が付いて、初めてこの言葉を知ったという方がほとんどではないでしょうか。高尿酸血症とは、血液中の尿酸値(血清尿酸値)が7.0mg/dLを超えた状態のことです。尿酸は、細胞や食品に含まれるプリン体が分解されてできる物質で、体内で作られる量と排出される量のバランスが崩れると、血液中に増えていきます。
この状態が続くと、尿酸が結晶(尿酸塩結晶)となって、関節の内側やまわり、腎臓、尿路に少しずつ沈着していきます。ただ、結晶があるからといって、必ず痛みが出るわけではありません。症状が出るまでほとんど自覚がないため、健診で指摘されて初めて気づく方が多い病気です。
尿酸値の基準と治療目標
「基準値を超えたと言われたのに、治療の目標はもっと低いんですか」というご質問をよくいただきます。尿酸値の管理では、診断の基準と治療の目標が、それぞれ別の数値で決まっているためです。
| 区分 | 血清尿酸値 |
|---|---|
| 高尿酸血症の診断基準 | 7.0mg/dLを超える |
| 尿酸降下薬による治療目標 | 6.0mg/dL以下を維持 |
治療目標である6.0mg/dL以下は、新たな尿酸塩結晶の沈着を防ぎ、すでに沈着した結晶を少しずつ溶かしていくための数値です。痛風結節がある場合や重症例では、これよりも低い目標が必要になることもあります。
痛風発作が起こる仕組みと誘因
「昨日まで何ともなかったのに、朝起きたら足の親指の付け根が腫れて歩けない」というのが、痛風発作のよくある始まり方です。関節内に沈着していた尿酸塩結晶が、何らかのきっかけで剥がれ落ちたり動き出したりして、そこに白血球などの免疫反応が加わり起こる急性の関節炎、これが痛風発作の正体です。きっかけとなる誘因には、次のようなものがあります。
- 飲酒、脱水
- 急激な運動、強い負荷のかかる運動、外傷
- 暴飲暴食、急な減量
- ストレス、感染症、手術
- 尿酸値の急激な変動
尿酸降下薬を飲み始めた直後にも、沈着していた結晶が動きやすくなり、一時的に発作が起こりやすくなることがあります。これは治療がうまくいっていない印ではなく、薬をやめる理由にもなりません。この点は、後ほど「尿酸降下薬による再発予防」で詳しくお話しします。
痛風発作の症状と診断
足の親指の付け根が急に腫れて痛むと、「これは痛風なのか、それとも別の病気なのか」と不安になりますよね。
典型的な痛風発作では、足の親指の付け根、足関節、膝などに、突然の強い痛み、赤み、腫れ、熱感が起こります。歩けないほどの痛みで受診される方も少なくありません。
ここで注意したいのが、発作時の尿酸値が必ずしも高いとは限らない点です。発作中の採血だけで痛風かどうかを判断することはできません。過去から尿酸値の高い状態がどれくらい続いていたか、発作の部位や経過、内服中のお薬、腎機能、生活習慣まで含めて、総合的にみて診断していきます。健診結果をお持ちの方は、過去の尿酸値の推移がわかる資料としてぜひご持参ください。
検査内容
血清尿酸値のほか、腎機能、尿検査、肝機能、血糖・HbA1c、脂質、血圧などを確認します。
高尿酸血症は、肥満、飲酒、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧、慢性腎臓病、尿路結石などと関連することが多いため、尿酸値だけでなく全身の生活習慣病リスクをあわせて評価します。検査項目の詳細は当院で行える検査のページにまとめています。
関節炎の様子が典型的でない場合や、感染性の関節炎が疑われる場合には、専門医療機関での関節液検査や画像検査を検討し、ご紹介します。
痛風発作時の治療
発作が起きている間は、まず痛みと炎症を抑える治療を行います。非ステロイド性抗炎症薬、コルヒチン、ステロイドなどの中から、年齢、腎機能、胃腸障害の有無、他の内服薬を考慮して選びます。これから尿酸降下薬を始める場合は、発作の炎症が落ち着いてから開始するのが原則です。
すでに尿酸降下薬を内服中の方は、発作が起きても自己判断で薬をやめるのは避けましょう。中止すると尿酸値がさらに変動し、発作が悪化したり再燃したりすることがあります。原則として尿酸降下薬は続けたまま、炎症を抑える薬を追加して対処します。
尿酸降下薬による再発予防
発作を繰り返す方、痛風結節がある方、尿路結石や腎機能低下を伴う方には、尿酸降下薬による再発予防を検討します。目標は、血清尿酸値6.0mg/dL以下を維持すること。治療は、次のような流れで進めていきます。
急に尿酸値を下げると、かえって発作が誘発されることがあります。そのため、尿酸降下薬は少ない量から慎重に始めていきます。
定期的に採血を行い、尿酸値と腎機能を確認しながら量を調整します。自己判断での増減は発作の引き金になるため避けましょう。
尿酸値が一時的に6.0mg/dL以下になっても、関節内に沈着した結晶が溶けて消えるまでには、数か月から数年かかることがあります。
「痛みがないから、もう治ったのでは」と思われるかもしれませんが、発作がないことは治ったこととは違います。再発を防ぐには、少なくとも数年単位で尿酸値6.0mg/dL以下を保ち続けることが欠かせません。
発作が起こらなくなった時期こそ、治療をやめたくなるものです。でも自己判断で中断すると尿酸値が再び上がり、少しずつ溶かしてきた結晶がまた沈着してしまいます。発作のない期間は「治療がうまくいっている証拠」と捉えて、通院と内服を続けていきましょう。
生活習慣の見直し
お薬だけでなく、日々の生活も尿酸値に大きく関わります。基本になるのは、十分な水分摂取、節酒、体重管理の3つです。
- 水分をしっかり摂る(脱水は発作の誘因になります)
- お酒の量を見直す(ビールに限らず、アルコールそのものが尿酸値を上げ、発作の誘因になります)
- 甘い飲料、果糖を多く含む食品の摂り過ぎを避ける
- 肉類・内臓類・魚卵の摂り過ぎを避ける
- 過食を避け、体重を管理する
一方で、極端な食事制限や急激な減量は、かえって発作の誘因になることがあります。運動も同じで、脱水を伴う激しい運動よりも、ウォーキングなどの有酸素運動を無理なく続けるほうが向いています。頑張り過ぎず、長く続けられる範囲で取り組むこと。それが尿酸値の管理では何よりの近道です。
よくあるご質問
ビールだけが原因ではありません。アルコールは種類を問わず尿酸値を上げ、発作の誘因にもなるため、お酒全体の量を見直すことが基本です。あわせて、甘い飲料や果糖を多く含む食品の摂り過ぎにも気をつけましょう。
患部を安静にして心臓より高い位置に上げ、冷やすことです。マッサージや飲酒、無理な歩行は炎症を悪化させることがあります。尿酸降下薬を内服中の方は自己判断で中止せずそのまま続け、できるだけ早めに受診してください。
自己判断での中止は、再発のもとになります。尿酸値が6.0mg/dL以下になっても、関節内の結晶が消えるまでには数か月から数年かかることがあります。やめるかどうかは、採血結果を見ながら医師と相談して決めましょう。
症状がなくても、一度診察を受けたほうがよいと思います。高尿酸血症は糖尿病、高血圧、脂質異常症、腎機能低下、尿路結石と関連することが多く、尿酸値だけでなく全身のリスクを確認する必要があります。治療は生活習慣の見直しから始め、尿酸値の高さや合併症の有無によっては薬物療法を検討します。受診の際は、健診結果表を持ってきていただけると助かります。
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理事長 野村 敦宣
保有資格・略歴
- 日本医科大学第一内科入局
- 米国ロチェスター大学メディカルセンター循環器研究部留学
- 労働衛生コンサルタント
健診で尿酸値の異常を指摘された方、足の親指の付け根の痛みを繰り返している方は、お気軽にご相談ください。腎臓への影響が気になる方は、CKD(慢性腎臓病)のページもあわせてご覧いただけます。