健診結果を指摘されたときの当院の考え方

健診や人間ドックで異常を指摘されても、痛みや不調を感じていない方は少なくありません。
しかし症状がないことは、体に負担がかかっていないことを意味しません。
血圧、血糖、脂質、肝機能、腎機能、心臓、肺の状態は、症状が出る前の段階からゆっくりと変化が進みます。
当院では、健診結果表に記載された判定だけで一律に対応を決めるのではなく、指摘された項目ごとに再検査や追加の検査を行い、生活習慣の見直しから薬物療法、専門医療機関への紹介まで、状態に応じた次の一手を一緒に決めていきます。
受診の流れ
健診結果を持って受診される際は、次のような流れで進みます。
受診時には、健診結果表(可能であれば過去の結果も)と、お薬手帳をお持ちください。数値の推移が分かると、判断の精度が上がります。
自覚症状の有無、既往歴、内服薬、生活習慣を確認します。症状がなくても、指摘された項目については必ずお伝えください。
血液検査、尿検査、心電図、腹部超音波検査など、指摘された内容に応じた検査を行います。詳細は下記の項目別の対応をご覧ください。
検査結果をもとに、生活指導、薬物療法、専門医療機関への紹介など、今後の進め方をご説明します。
指摘された項目別の対応
健診・人間ドックで指摘されやすい8つの項目について、当院での対応の要点をご案内します。気になる項目があれば、下記の見出しからご覧ください。
| 項目 | 当院での対応 |
|---|---|
| 血圧 | 家庭血圧の測定をお願いし、必要な場合は24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を実施 |
| コレステロール | LDL・HDL・中性脂肪・non-HDLコレステロールの再検査と生活指導。リスクが高い場合は薬物療法も検討 |
| HbA1c | 血糖値・尿検査・腎機能・脂質などを確認し、まず生活習慣の見直しから開始 |
| 肝機能異常 | 肝機能の再検査、肝炎ウイルス検査、腹部超音波検査を実施。精査が必要な場合はCT・MRI検査を外部委託し専門医療機関へ紹介 |
| 尿蛋白 | 早朝尿での再検査を実施。持続する場合や腎機能低下を伴う場合は慢性腎臓病として継続管理し腎臓専門医へ紹介 |
| 心電図異常 | 再度心電図を確認し、ホルター心電図・心臓超音波検査を実施。専門的な評価が必要な場合は循環器専門医療機関へ紹介 |
| 胸部X線異常 | 健診画像・結果表を確認し再検査。内容によっては胸部CT・MRI検査を外部委託し、呼吸器・循環器専門医と連携 |
| 尿酸値 | 尿酸値の再検査に加え腎機能・尿検査・血糖・脂質などを確認し生活指導。発作を繰り返す場合などは薬物療法を検討 |
血圧が高いと言われた方
診察室で測る血圧の上昇は、緊張や一時的な体調の影響によることがあります。一方で、診察室では正常でも家庭や職場では血圧が高い「仮面高血圧」の方もいらっしゃいます。当院ではまず家庭血圧の測定をお願いし、診察室血圧だけでなく普段の血圧を確認します。判断が難しい場合は、小型の血圧計を装着したまま日常生活を送っていただく24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を行い、家庭や職場での血圧を踏まえたうえで、高血圧の有無、治療の必要性、生活習慣改善の方針を判断します。診断基準や治療目標の詳細は高血圧症のページをご覧ください。
コレステロールが高いと言われた方
LDLコレステロールや中性脂肪が高い状態が続くと動脈硬化が進み、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高まります。脂質異常症は自覚症状がないため、健診での指摘こそが重要な手がかりです。当院ではLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、non-HDLコレステロールを確認したうえで、食生活、飲酒、体重、運動習慣を伺い生活指導を行います。心血管リスクが高い場合には、薬物療法もあわせて検討します。タイプ別の対応は脂質異常症(高脂血症)のページで詳しく説明しています。
HbA1cが高いと言われた方
HbA1cは過去1〜2か月程度の平均的な血糖状態を反映する検査で、数値が高い場合は糖尿病または糖尿病予備群の可能性があります。初期には自覚症状がほとんどないため、健診での早期発見が特に重要です。当院では血糖値、HbA1c、尿糖、尿蛋白、腎機能、脂質を確認し、食生活、間食、飲酒、運動習慣、体重変化を伺いながら、まず生活習慣の見直しから始めます。再検査の結果、糖尿病が疑われる場合や治療が必要な場合には、食事療法、運動療法、薬物療法を含めて方針を相談します。診断基準は糖尿病のページで詳しく説明しています。
肝機能異常を指摘された方
AST、ALT、γ-GTPなどの肝機能異常は、脂肪肝、飲酒、薬剤、ウイルス性肝炎、胆道系疾患、自己免疫性肝疾患など原因が多岐にわたり、自覚症状がないまま続くことも少なくありません。当院ではまず肝機能の再検査を行い、状況に応じてB型・C型肝炎などの肝炎ウイルス検査、胆道系酵素、脂質、血糖、尿酸を確認します。脂肪肝や胆石、肝腫瘤の有無を調べるため腹部超音波検査を行うこともあります。原因の特定が難しい場合や精査が必要な場合には、CT・MRI検査を外部委託し、消化器・肝臓専門医療機関へご紹介します。脂肪肝についての詳しい説明は肝機能障害・脂肪肝のページをご覧ください。
尿蛋白を指摘された方
尿蛋白は、腎臓に負担がかかっているサインのことがあります。一時的に出ることもありますが、繰り返し陽性になる場合は、慢性腎臓病、糖尿病性腎臓病、高血圧による腎障害などを考える必要があります。当院ではまず早朝尿での再検査を行います。早朝尿は運動や日中の活動の影響を受けにくく、より正確な評価につながるためです。あわせて尿潜血、尿沈渣、尿中アルブミン、腎機能、血圧を確認し、尿蛋白が持続する場合や腎機能低下を伴う場合には、慢性腎臓病として継続的に管理し、腎臓専門医へご紹介します。詳しくはCKD(慢性腎臓病)のページをご覧ください。
心電図異常を指摘された方
健診で心電図異常を指摘されることは少なくありません。不整脈、心肥大、虚血性変化、伝導障害などが疑われる場合があり、症状がなくても動悸、息切れ、胸痛、めまい、失神の有無を確認することが大切です。当院では再度心電図を確認し、症状の頻度や所見に応じてホルター心電図や心臓超音波検査を行います。ホルター心電図は、通常の心電図では見つかりにくい発作性の不整脈を確認するための検査です。心臓超音波検査では、心機能、心肥大、弁膜症、心不全の有無を評価します。専門的な検査や治療が必要な場合は、循環器専門医療機関へご紹介します。不整脈の種類ごとの考え方は不整脈のページで詳しく説明しています。
胸部X線異常を指摘された方
胸部X線では、肺炎、肺結節、肺気腫、胸膜変化、心拡大、胸水、大動脈の変化などが指摘されることがあります。過去の画像と比較すると、以前からある変化か新しい異常かを判断しやすくなります。当院では健診の画像や結果表を確認し、状況に応じて再度胸部X線検査を行います。異常の内容によっては、胸部CT検査やMRI検査を外部委託で実施することもあります。肺がん、間質性肺炎、肺気腫、心不全などが疑われる場合には、呼吸器専門医や循環器専門医と連携して診療を進めます。
尿酸値が高いと言われた方
血液中の尿酸値が高い状態を高尿酸血症といいます。この状態が続くと、痛風発作、尿路結石、腎機能低下につながることがあります。痛風発作がない場合でも、生活習慣病や腎機能との関連を確認することが大切です。当院では尿酸値の再検査に加え、腎機能、尿検査、血糖、脂質、血圧、体重、飲酒量を確認し、まずは食生活、飲酒、体重管理、水分摂取、運動習慣の見直しから始めます。痛風発作を繰り返す場合や、腎機能低下・尿路結石を伴う場合には、尿酸を下げる薬物療法を検討します。詳しくは高尿酸血症・痛風のページをご覧ください。
健診結果を放置しないために
健診異常は、病気の早期発見や生活習慣改善のきっかけになります。一つひとつの数値がわずかな異常にとどまっていても、複数の項目が重なると、将来の心筋梗塞、脳卒中、心不全、慢性腎臓病などのリスクが高くなることがあります。当院では、健診結果をもとに必要な再検査、生活指導、治療方針をご説明します。
よくあるご質問
健診・人間ドックの結果を受けての再検査や精密検査は、症状や数値異常を確認するための診療行為にあたるため、保険診療の対象となります。健診そのものの費用とは異なりますので、詳しくは受診時にお尋ねください。
小型の血圧計を装着したまま日常生活を送っていただき、日中・夜間を通じて一定間隔で血圧を自動測定する検査です。診察室だけでは分からない血圧の変動や、夜間・早朝の血圧上昇を確認できます。診察室血圧と家庭血圧に差がある場合などに行います。
24時間、日常生活を送りながら心電図を記録する検査です。入浴時以外はほぼ普段どおり過ごしていただけます。健診の心電図だけでは分からない発作性の不整脈を確認する目的で行います。
「要精密検査」は、健診の数値だけでは原因や重症度を判断できず、追加の検査で確認が必要な状態を指します。「要治療」は、すでに治療の必要性がはっきりしている状態です。判定の記載だけで不安になる前に、結果表をお持ちのうえご相談ください。
結果表をお持ちいただければ当日から相談を始められますが、内容によっては後日あらためて採血や画像検査の予約が必要になる場合があります。事前にお電話でご確認いただくとスムーズです。
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健診で数値の異常を指摘された方は、内科・循環器科までご相談ください。